NEXT SMILE!が安藝社長に聞いてみた!松戸の芸能事務所が世界にポップカルチャーを届けるまで

グッドスマイルカンパニー設立20周年に向けたプロジェクト『GOOD SMILE NEXT』。そのアンバサダーとして起用された伊藤美来さん、鈴木みのりさん、芹澤優さんによる3人組ユニットNEXT SMILE!が、秋葉原にあるグッドスマイルカンパニーに初訪問した様子を写真とともにご紹介!
記事の後半ではグッドスマイルカンパニー代表取締役社長の安藝貴範(あき たかのり)にNEXT SMILE!が直撃インタビューを決行。グッスマ=フィギュアだけじゃない、色んなお話を聴くことができました。

グッスマ初訪問! いい意味で会社らしくない、笑顔あふれる空間がそこに!

入口からすでに楽しい…! グッスマの生放送でよく登場するこちらのフィギュア棚ですが、このフロアは会議室&フリースペースになっており社内外の色んな人が行き来します。NEXT SMILE!がロゴの前で記念撮影していたら着ぐるみうーさーさまが普通に歩いていたので一緒にパシャリ。うーさー、思いっきり見切れているけど良いの?!

今回は特別に会議室にも潜入!会議室毎に装飾が異なっており、こちらのお部屋はレーシングミクのフィギュアやレーシングカーのボンネットが飾ってあります。ここで話し合いが行われ、あんな企画やこんな企画が生まれたんだろうなぁ…!なんて想像していると、思わずNEXT SMILE!も真剣な表情に。

続いて制作フロアにも突入。こちらではフィギュア金型の元となる原型制作や彩色などの作業をしています。黙々と作業をしているスタッフを後ろからこっそりと見学するNEXT SMILE!。小声で「細かい!」「こうやって作ってるんだ…!」と興味津々の様子。

最後に見学したのはレーシングカー。NEXT SMILE!と比べてこのサイズ感、伝わりますでしょうか。実はグッドスマイルカンパニーはカーレースにも参加しているんです。こちらの車も実際にサーキットを走っていたもので、車体には初音ミクレーシングVer.2019がプリントされています。

いよいよ安藝社長とご対面…!

上から下までグッドスマイルカンパニーを見学したNEXT SMILE!。いよいよ安藝社長へインタビューです。フィギュアメーカーの社長って一体どんな人なんだろう…?メガネをかけてインタビュアーにジョブチェンジ!

安藝貴範(以下、安藝):初めまして、安藝貴範です。
伊藤美来さん(以下、伊藤):伊藤美来です。
鈴木みのりさん(以下、鈴木):鈴木みのりです。
芹澤優さん(以下、芹澤):芹澤優です。
伊藤・鈴木・芹澤:本日はよろしくお願いいたします!!!
安藝:みなさん華やかで、元気があっていいですね。こちらこそよろしくお願いします。

芸能事務所に釣具屋…?! 紆余曲折を経てホビー業界へ

伊藤:グッドスマイルカンパニーさんはいつごろ設立されたんですか?
安藝:設立は2001年5月で現在19年目。来年の5月1日でちょうど20周年なんですけど、意外と長いでしょ?
伊藤:20年…!最初からフィギュアの会社だったんですか?
安藝:実はね、最初は芸能事務所だったんです。当時僕はバンプレストに在籍していて、グループの芸能事務所を面倒見ていたんですけど、そこが解散するタイミングで何人かから「安藝さんと一緒にやりたい」ってお声がけをいただいて。それで調子に乗って会社を作っちゃったんですよ。
芹澤:すごい!それは嬉しいですね!
鈴木:そのときはどんな方が所属していたんですか?
安藝:杉田智和さんとか、高橋美佳子さん、小林由美子さんなどいらっしゃいました。でもね、芸能事務所って最初は稼げないんですよ。「この子は必ずスターになる!」っていう夢だけ。そのためのレッスン費や衣装代がかかるので、費用を稼ぐために釣具屋もやってました。
伊藤:芸能事務所に釣具屋ですか…⁈
安藝:そう(笑)。釣具屋で稼ぎつつ、ミュージックビデオを作る仕事とか、とにかく何でもやってました。
伊藤:何でもやっていたところから、フィギュアにシフトチェンジしたきっかけはあるんですか?
安藝:当時タレントとして所属していたMAX渡辺さんがホビー関連の仕事をしていて、彼を本格的に手伝うようになったんです。彼はマックスファクトリーというホビーメーカーの代表なのですが、それをバックアップする会社としてグッドスマイルカンパニーは段々とホビーを扱うようになっていきました。現在でもマックスファクトリーとは関連会社として仲良くお付き合いさせていただいてます。
鈴木:マックスファクトリーさんとはそんな昔からのお付き合いなんですね…!
安藝:そうなの。最初はホビーの事を何にも知らないし、ぜんぜんわからなくて、ちょっと不思議な世界というか、立ち入ってはいけない世界だなって思ってました。でもマックスファクトリーの作るモノがものすごく良かったんです。本当に絵から飛び出してきたような…。それで僕もホビーの仕事に段々と自信をもてるようになりました。

アニメ、ゲーム、カーレース!フィギュアだけじゃないグッスマ

芹澤:昔より今のほうがフィギュアの需要があると感じますか?
安藝:感じるし、そうなるために頑張っています。昔ってフィギュアはオタク趣味の中でもニッチというか、とっつきにくいイメージだったんです。けど今はそれこそ「ねんどろいど」とか、キャラクターが好きなら買うような普通のアイテムになった。
芹澤:今は普通に、机にフィギュアが飾ってあったりしますよね。
安藝:そうそう。色んな会社へ遊びに行くと、机の上に小さいフィギュアが飾ってあったりするじゃない。そうやって、普通にフィギュアを買ってもらうため色んな努力をしました。フィギュアって家にあるとかっこいい、ってことだけを伝えるCMをTVで流したりね。

「ねんどろいど」とは

手のひらサイズで2.5頭身にデフォルメした可動フィギュアシリーズ。2006年のシリーズ誕生以来、2020年現在までに約1,200種類以上を発売。飾って鑑賞するだけではなく、付属する表情や様々なオプションパーツを付け替えることで、劇中の印象的なシーンを再現するなど思い思いの遊び方ができるプレイバリューの高さが大きな特徴。

伊藤:フィギュア以外にも色々なことをされてますよね!
安藝:はい。例えば関連会社にウルトラスーパーピクチャーズというアニメスタジオを複数傘下にもつホールディングスがあって、そこにはサンジゲン(「BanG Dream! 3rd Season」「新サクラ大戦 the Animation」など)、トリガー(「プロメア」「キルラキル」など)、ライデンフィルム(「啄木鳥探偵處」「無限の住人-IMMORTAL-」など)といったヒット作を生み出しているスタジオが参加しています。2017年にはグッドスマイルフィルムというアニメの企画・制作、宣伝プロデュースなどを行うチームが関連会社に加わりました。彼らはアニメ『五等分の花嫁』の宣伝プロデュースなど複数の作品に参加しているのですが、ノウハウのあるチームなので大変頼もしいですね。あとは、『グランドサマナーズ』『東方ロストワード』といったスマートフォンゲームの運営もしています。
芹澤:あっ!私『グラサマ』のCMに出演したことあります!
安藝:お世話になってます(笑)。

【グランドサマナーズ】グラサマ2周年記念CM i☆Ris篇その1【プロモーション】

安藝:あとは2008年からカーレースにも参加しています。「SUPER GT」のGT300クラスに参戦していて、2011年、2014年、2017年の3度に渡りシリーズチャンピオンになりました。
鈴木:私たち、さっきレースカーを見させてもらいました!カーレースはどんなきっかけで参加するようになったんですか?
安藝:僕らの新規事業って、だいたい何か頼まれて「いいよいいよ、一緒にやりましょう」って始めることがほとんどで、カーレースもそうだったんですよ。レースに出場するにはすごくお金がかかるから、スポンサーを集めなきゃいけない…つまり目立たなきゃいけないので、痛車(車体にアニメや漫画のキャラクター、ロゴなどを塗装した車)をカーレースに持ち込んだらどうだろう? って考えた人たちがいたの。彼らが相談に来たので、それならみんなが応援したくなる気運がある「初音ミク」を使った痛車はどうかという話になり、僕らを仲介してクリプトン・フューチャー・メディアさんにご相談をさせていただきました。それが現在の「初音ミク GTプロジェクト」のきっかけです。

熱意ある「夢」を叶えるお手伝いがしたい

伊藤:カーレースも12年続けられていて凄いです…!
安藝:続けてるうちにファンの方が増えていったんです。あと僕らのレーシングチームで働く人とか、チームの中で夢を持つ人もいるので、辞めづらいじゃないですか。
芹澤:優しい~!
安藝:僕らは夢を応援する会社なので。芸能事務所のカラーがずっと残ってるんです。
鈴木:じゃあ色んなことをやるのは、夢を後押しするってことでもあるんですか?

安藝:そうですね。よく「夢しか叶うものは無い」みたいな事を世の中で言う人がいるんですけど、僕はそれすごくわかるんです。夢を持たない限りそこには辿り着けないって考え方はポジティブでいいじゃないですか。年齢は関係無く、夢を持った人たちが僕らのところにいつも来るんですよ。彼らと話をしていて、この人たちは本気で夢を追えるなって思うと手伝いたくなるんですよね。本気じゃないと感じたら適度に距離を置く(笑)
芹澤:それは直感でわかるんですか?
安藝:うん、直感かもね。「本当にやりたいのか」「どうやってやりたいのか」「どんな順番でやりたいのか」「いつまでやりたいのか」「何が君の成功なんだ」って話をするのですが、本気で考えている人は言い淀まないし、言い淀んだとしても聞けば答えてくれる。聞き方も大事ですね。

伊藤・鈴木・芹澤:(真剣に頷く)
鈴木:……すごく刺さりました。自分の夢を具体的にしなきゃって。
安藝:そう、具体的に言うとフィードバックがもらえる。「そうじゃないよ」とか「この順番じゃ無いよ」とか。多分そういうのを毎日毎日ずっと繰り返すと、夢に近づく方法が見えてくるし、それに対して自分が実現出来るかどうかがわかる。出来るならやればいいし、出来なければ諦めるのも手だね。
伊藤:なんだか社会科見学みたいです。
鈴木:ちょっと泣きそうになっちゃいました…!
安藝:声優さんの世界も本当に難しいと思います。辞めるのが一番難しいし、ここで諦めるというのが出来ない。けどそれでも夢に立ち向かうか、諦めるか、決めなきゃいけない。だから大変なお仕事だよね。

中国、三万平米の土地でたった20人からのスタート

芹澤:すごくいいお話、ありがとうございました!逆に安藝さんが「大変だったなあ」と感じたエピソードがあれば教えてください。
安藝:実はこれまで結構運が良くて、あんまり大変な思いをしてないんです。…したのかもしれないけど、気づいてない(笑)
芹澤:捉え方次第ですね…!
安藝:昔、中国に工場を作ったのですが、僕らにとっては初めての試みだったんです。そもそも中国へあまり行ったこと無かったのに大きな工場を作ろうとした。3,000人が入れるような大きな建物を借りるために、不動産屋と5か所も10か所も周って。それで、僕らは夢があるから、つい、こう……「これが一番でかいから、一番かっこいいじゃん!」って三万平米の工場を借りてしまい……
芹澤:ええ~っ!
鈴木:想像できない…!
伊藤:三万平米って…?
安藝:三万平米は中にサーキットが作れるくらい広いです。それを借りて工場を造り始めるんですけど、最初はスタッフふくめて20人くらいしかいなかった(笑)。そこから工員さんを呼びこむために何百人か入るドミトリーを用意したのですが、部屋に何も無かったのでベッドを作ったんです。
芹澤:それはお金がかかりそうですね…!
安藝:でしょ?お金がかかるから自分たちで工材買ってきてベッドを作りました。
一同:(笑)

ホビーを通じ、世界のポップカルチャーを混ぜることが使命

芹澤:では最後に今後のグッドスマイルカンパニーについて、展望など教えてください!
安藝:今までは周りの人に助けられたり、一緒にやろうとお声がけいただいた結果、事業が拡がることがほとんどで、僕たちが自主的に何かしようと思ったことは少なかったんです。でも経験を経て色々なことが出来るようになったことで、グッスマがすべき役目みたいなものが少しずつ見えてきた気がします。僕らがいま何をしているかというと、主には日本のポップカルチャーを世界に届けること。例えばみなさんのような声優さんを世界へ届けたり、新しいアニメーションのフィギュアを作って世界に届けることを主にしているのですが、それに加えここ数年注目しているのは、各国のポップカルチャーです。たとえば中国やアメリカには日本の影響を受けたポップカルチャーが根付いている。海外で制作されるアニメやゲームで、日本の作品に影響されているようなデザインのものってたくさんあるじゃないですか。でもそのままでは無く、それぞれの国でアレンジされて根付いているんですよね。そうした海外のポップカルチャーは逆に日本人も楽しめる。
そうやって少しずつ各国の色が混ざることで、日本から生まれたポップカルチャーが、アレンジされてもっと広く楽しまれるようになる。そうした文化の拡がりを僕らはホビーを通じてお手伝いすることができるんです。いま日本のチームは日本のキャラクターフィギュアを世界中にお届けしていますが、実は中国やアメリカにもチームがあって同じように各国のキャラクターフィギュアを世界中にお届けしています。こうやって色んなところのサブカルチャー、ポップカルチャーを世界に届けて文化を混ぜていく、というのが僕らの使命かな。

伊藤:深いですね…!
安藝:それにね、その方が僕たちの傍にいるクリエイターたちが長く好きなことを続けられる。作品が少し流行ってすぐ終わると、そのまま忘れられちゃうじゃないですか。この仕事を長く続けたい人たちがこの先何十年も仕事が出来たら、より高度な事が出来るようになって、クリエイターも業界もよりハッピーになると思う。作品やキャラクターが日本だけに留まっていたら早く寿命が来てしまうから、世界へ届けることでそれを拡大させる、というのも僕らの役割だと思っています。

グッスマが目立ったときは注目すべし!

伊藤・鈴木・芹澤:(声をそろえて)グッドスマイルカンパニーのファンのみなさんにメッセージをお願いします!
安藝:グッスマファンのみなさんがいるかわからないですけど(笑)
伊藤・芹澤:いますよ!
鈴木:ここにもいますよ!!
安藝:ありがとう、嬉しいです。僕たちにとってはフィギュアが一番、みなさんに好きなものを伝えることが出来る手段です。なのでフィギュアはこれからも頑張っていきますが、アニメやゲーム、それからNEXT SMILE!のみなさんと一緒に作った楽曲やグッスマTVみたいな配信番組も、国を問わずサービスを拡げていけるように感じていますので、ぜひ注目していて下さい。僕らは出来るだけ後ろに隠れながら、ちょっとずつ目立っていくので。
芹澤:縁の下の力持ちですね!
安藝:逆に、グッスマが今回出てきたな、というときは注目したほうがいいです。それは何か新しいことや面白いことをやろうしているサインです。
鈴木:宣伝大使として私たちも頑張ります!
安藝:頼もしいね!これから長いお付き合いになりますが、みなさんと一緒に頑張れるといいですね。
伊藤・鈴木・芹澤:よろしくお願いします!!!

「GOOD SMILE BRINGS FUTURE -NEXT SMILE!ver-」ミュージックビデオ配信中!

https://youtu.be/9Y6j3rKAew0

© Crypton Future Media, INC. www.piapro.net
© 上海アリス幻樂団©GOOD SMILE COMPANY, INC. / NextNinja Co., Ltd.
© LEN[A-7] / Crypton Future Media, INC. www.piapro.net piapro directed by コヤマシゲト

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